老後に差がつく住宅ローンの組み方・返し方 後編

2019年6月5日

2023年1月25日

住宅ローンで失敗しないためのコツは、家を決める前に住宅ローンについて学び、調べることです。前編では、予算や頭金、金利選択などの住宅ローンの組み方について紹介しました。この記事の後編では、住宅ローン関連でよく話題になる、「繰上げ返済」と「夫婦で住宅ローンを組む場合」について解説します。

老後に差がつく住宅ローンの組み方・返し方 (前編)はこちら

こんな場合どうする? 繰上げ返済

繰上げ返済とは、決められた返済額以外に随時返済額を増やすことで、住宅ローンの返済支払い総額を減らす方法です。定期的な返済では、借入金の利息と元金を合わせた額になります。元金とは、借りた金額のみで利息を含まない額のことです。利息は、返済時点の借入残高に金利を掛けて求めます。借入残高の大きい借入当初は、返済額の内、利息の割合が大きく、元本の割合は小さくなります。繰上げ返済で早く元金を減らすことで、支払い予定だった利息を削減することができます。

繰上げ返済には、全額返済と一部返済があります。全額返済は、借入残高の全てを一括返済することで、住宅ローンのプラン変更や、相続や退職金などで大きなお金が入ったときに利用されるケースが多いです。一部返済は、期間短縮型と返済軽減型の2種類があります。期間短縮型の繰上げ返済では、予定していた借入期間から、繰上げ返済額に応じた一定期間分を短縮することができます。図の例では、100万円の繰上げ返済をすることで、2年8か月の期間短縮をし、約151万円の利息が軽減されました。

期間短縮型

返済軽減型の繰上げ返済では、繰上げ返済額を毎月の返済元本に充当し、毎月の返済額を圧縮させます。図の例では、100万円の繰上げ返済をすることで、毎月76,970円だった返済額が、毎月72,915円に圧縮され、約51万円の利息が軽減されました。

返済軽減型

同じ100万円の繰上げ返済であっても、軽減される利息の総額や、毎月の返済額、返済期間が異なります。リタイア後にも返済が残ることに不安が大きい場合には、期間短縮型がよいかもしれません。一方、教育費負担などで大きく年間収支がマイナスになる時期がある場合には、返済軽減型が望ましいかもしれません。ライフプランに合わせて、2つの返済方法を選ぶとよいでしょう。

こんな場合どうする? 夫婦でローンを組む場合

通常の住宅ローンでは、債務者は一人です。しかし、夫婦で収入合算をしてローンを組む場合には、下記3種類の方法から選ぶことができます。

連帯保証ローン

連帯保証ローンとは、夫が債務者となり、妻が連帯保証人となるケースです。メリットは、妻の収入が合算でき、借入額を増やせることです。デメリットは、妻は債務者ではないため団体信用生命保険に加入できないことや、住宅ローン控除を受けられないことがあげられます。

ペアローン

ペアローンとは、夫も妻も、二人でそれぞれ単独の債務者として各借入分の負債を負う方法です。メリットは、二人は単独の債務者となるため、それぞれの借入額に応じてそれぞれ住宅ローン控除がうけられたり団体信用保険が適用されることがあげられます。デメリットは、2本のローンを組むことになるため、保証料や事務手数料、抵当権設定登記に関わる費用など、諸費用が倍かかることです。また、年収や勤務形態によって利用が制限される場合もあります。

連帯債務ローン

連帯債務ローンとは、連帯債務として、二人でそれぞれ借入全額の負債を負うものです。メリットは、妻の年収が合算でき、借入額が増やせること、妻も住宅ローン控除が受けられることがあります。また、妻も団体信用生命保険が適用されることがあります。デメリットは、民間金融機関では取り扱いが少ないこと、フラット35は固定金利のみと選択肢が少なくなることです。

この3種類のローンから選ぶポイントになるのが「住宅ローン控除」です。住宅ローン控除とは、年間4000万円以下の住宅ローンの借入残高について、10年間に渡って1%が所得税から控除される制度です。所得税から控除しきれない分は、住民税からも一部控除されます。また、個々の所得税額から控除されるので、上限まで引ききれない場合もあります。住宅ローン控除は借入を行う個人単位での申請となるため、住宅ローンの組み方によって、夫婦二人で控除が受けられ、一人の場合よりも控除額が大きくなる場合があります。令和元年10月の消費税引き上げに際しては、控除期間を13年間に拡充する措置もあります。

【夫婦でローンを組む場合 まとめ】

夫婦でローンを組む場合 まとめの表

老後に差が付く住宅ローンの分かれ道は、自分にあった借入方法を見つけること

まずは、借りられる額ではなく、無理なく支払える返済額から月々の予算を決めましょう。無理なく支払える返済額とは、現在の住宅関連費と貯蓄額を合わせた額です。住宅支援機構のWEBサイトでは、簡単に住宅ローンのシュミレーションができるページがあります。毎月の返済額や融資金利、返済期間や返済方法を入力するだけで、簡単に借入額が算出されるため、試してみてください。

最後に、必要書類についても触れておきます。ローンの契約の際には、事前審査申込書の他、運転免許証や健康保険証などの身分証明書、源泉徴収票、物件資料、など各種書類が必要となります。さらに他に借入がある場合には、借入中の償還予定表および残高証明書なども必要になります。正式な申込時には、先の書類に加えて、印鑑証明書や住民票、住民税決定通知書または課税証明書などの書類も用意しなくてはなりません。金融機関や金利について、あらかじめよく調べておくことで、書類の準備もスムーズに進めることができます。

総じて、自分にあった借入方法を見つけるためには、事前準備と検討の手順がポイントになります。そのため、物件を見に行く前に、「自分の情報を整理しすること、予算を決めること、金利を調べること」が大切です。先に物件を見て「欲しい」と強く思ってしまうと、冷静な判断が難しくなることもありです。あらかじめ、自分にあった住宅ローンの組み方や借入方法を見つけてから、物件を見に行くことができるかどうかが、大きな分かれ道となるのです。

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