マイホームを買おう!と思ったら、多くの人がまず気になるのが「住宅ローン」のことかもしれません。一生の中でも1、2位を争う大きな買い物といわれる住宅購入をギャンブルにはできませんよね。前シリーズ『マンションが買いたくなったら読む赤本』でマンション購入を決めた山田さんのお宅の事例を通して、住宅ローンを利用するときのポイントをおさえましょう。
vol.5では、「公的ローンか民間ローンか」その選択のポイントと、気になるキーワード「フラット35」について見ていきます。
住宅ローンはどこから借りる?
公的ローンか民間ローンか、 選択のポイント
美香:住宅ローンには「公的ローン」と「民間ローン」があるわよね。どちらがよいのかしら。
まず、公的ローンから説明しましょう。公的ローンには財形貯蓄を1年以上続けているサラリーマン向けの「財形住宅融資」と、各自治体が融資している「自治体融資」があります。財形住宅融資は、財形貯蓄残高が50万円以上あることが条件で、貯蓄残高の10倍までの融資を受けることができます(最高4,000万円まで)。金利は5年間固定金利で、5年ごとに返済額が見直されます。自治体融資は全国すべての自治体が実施しているわけではなく、融資内容や条件なども各自治体によって異なります。居住年数や勤務年数、一定額以下の収入など細かい条件が定められていますが、ローンの支払利息のうち、一定分を自治体が補助してくれる利子補給などの優遇があるケースもあります。一般的に公的ローンは金利面で比較的有利な反面、物件に対する条件が厳しく、借入限度額に限度があるのが特徴です。
民間ローンは都市銀行や地方銀行、ネット銀行、生命保険会社などの民間機関が行うローンのことです。一般的によく利用されるのは金融会社と不動産会社が提携した提携ローンで、申し込み手続きが簡単なうえ、金利が優遇されるケースが少なくありません。非提携ローンでも「当初○年間は金利を優遇」「預金残高によって金利を優遇」などのキャンペーンのほか、病気やケガで長期間働けなくなったとき、その後の返済を免除するサービスを打ち出すなど、競争激化の背景から、ユニークなものが次々に登場しています。民間ローンの審査基準になるのは、借入者の年齢や家族構成、勤務先と年収、健康状態、クレジットの返済状況などです。返済能力面での条件はやや厳しいですが、公的ローンに比べると融資限度額が高めなのが特徴です。
翔太:公的ローンは誰もが利用できるとは限らないのか。まずは自分が使えるローンの種類を調べてみよう。
低金利時代だからこそフラット 35 がおすすめ
「フラット35」とは、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫))と民間金融機関が提携した長期固定金利のローンのことで、その名の通り、最長で35年間、金利が固定されます(ただし、金融機関によって金利は異なります)。低金利時代にはまずはフラット35を検討するのがおすすめです。
フラット35の3大メリットは、次の通りです。
1. 返済の最初から最後までずっと金利が変わらないのでマネープランが立てやすい
2.ローン保証料が不要
3.繰り上げ返済手数料がかからない
通常の民間ローンではローン契約時に数十万円のローン保証料がかかるうえ、繰り上げ返済の手数料が1回あたり3万円以上することもありますが、フラット35ならすべて無料です。ただし、「繰り上げ返済は100万円以上」「団体信用生命保険料を別途支払わなければならない」などのデメリットもあります。
団体信用生命保険(以後「団信」)とは、返済の途中で加入者が死亡または高度障害状態になったとき、本人に代わって生命保険会社が住宅ローン残額を支払う保険のこと。民間ローンの場合は団信が金利に含まれていることが多いのですが、フラット35の場合、自己負担になることを覚えておきましょう。ただし、すでに民間の生命保険に加入しており、住宅ローンに充当できる保険金が出る場合は、必ずしも団信に加入しなければならないということはありません。
▶︎vol.6に続く
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【出典・参考文献】
山崎隆『東京マンション資産価値予測 DATA BOOK』(ダイヤモンド社)
泉正人 cafeglobe「美マネ experience」