「会計」の知識でビジネスのお金の流れを考える

2019年12月20日

2023年8月28日

この記事では、ビジネスでの「会計の考え方」について説明します。難しく考えず、「会計ではこういう考え方をする」という点をイメージしてください。

ビジネスサイクルを考える

ビジネスを始めるためにまず必要なものは、「お金」です。その「お金」をどうやって増やしていくのか? 「お金」を使ってどのように儲けていくか? それが「事業活動」です。
そして、お金がどのように流れていくのか? このことを考えるため、把握するために、「会計」が存在します。「会計」を学び、活用することによって、このお金が増えていく様子が分かるようになります。このようにお金が増えていった結果、どのような資産形成をしていくのかが分かるようになります。それは、個人でも同じことです。
「会計」を学び、活用することで、会社の事業と同じように、儲けて、お金を残す。未来の目標を掲げ、その目標に向かって資産形成を築く上で、「会計」を活用していきましょう。

それでは、まず事業活動に伴ったお金の流れを学んでいきます。

①「カネ」の調達

ビジネスをスタートするに当たり、必要なものは「カネ」です。その「元手」の調達から、ビジネスはスタートします。
その調達方法は主に、「株主」を集めて出資してもらう、また銀行から融資を受ける、という2つです。

②「モノ」を購入する

調達した「カネ」で、「モノ」を購入します(仕入れる)。

③「債権」を手に入れる

仕入れた「モノ」を売ることで、あとでカネを貰える権利=「債権」を手に入れます。

④「カネ」を手に入れる

手に入れた「債権」を、「カネ」に変えます。

ビジネスの流れを意識して「儲け」を計算してみよう

元手として調達された「カネ」は、「モノ」へと投資され、またその「モノ」を販売し、回収して利益を生み出します。そして、これをまた新たな「カネ」として、次の商品への投資につなげ、販売し、回収します。
このようなお金の流れのことを「資本の循環(ビジネスサイクル)」と言います。

例題

①元手:現金200万円
②仕入:単価10,000円の商品を100個、現金で仕入れた。
③売上:単価15,000円で80個、現金で売り上げた。

以上の取引の
(1)「儲け」はいくらですか?
(2)「商品」はいくら残っていますか?(在庫)
(3)「現金」の残高はいくらですか?

解答・解説

(1)「儲け」 400,000円
売上:15,000円 × 80個 = 1,200,000円
売上原価:10,000円 × 80個 = 800,000円
∴「儲け」は、
1,200,000円 – 800,000円 = 400,000円

(2)「商品」 200,000円
仕入数:100個 – 販売数:80個 = 在庫数:20個
∴「商品」(在庫)は、
20個 × 仕入単価:10,000円 = 200,000円

(3)「現金」 2,200,000円
元手:2,000,000円
仕入(支出):10,000円 × 100個 = 1,000,000円
売上(収入):15,000円 × 80個 = 1,200,000円
∴「現金の残高」は、
元手:2,000,000円 – 仕入:1,000,000円 + 売上:1,200,000円 = 2,200,000円

儲け(利益)はどうやって計算するべきなのか

この問題において大切なのは、「儲け」の計算における「売上原価」の計算方法です。
仕入は10,000円 × 100個なので、今年の売上原価は100万円にしたいところなのですが、「儲け」の計算においては、その年の売上に貢献した分だけしか売上原価にしてはいけないことになっています(費用収益対応原則*)。
では、残りの10,000円 × 20個分はどうなるのか? それは簡単で、来年その20個が売れた時に、売上原価にすれば良いのです。そうしないと、来年20個の商品が売れた時に、その売上がまるまる儲けになってしまいます。ですから、このような方法をとるのです。

【用語解説】費用収益対応原則
売上原価などの「費用」は、売上などの「収益」に貢献した分しか利益の計算には計上してはいけない、という会計における原則を言います。

【ワンポイント】
この「費用収益対応原則」の考え方は非常に重要で、今後も何度も出てくるので、是非覚えておいてください。

在庫の把握

在庫」とは、企業や商店の商品が、倉庫やお店などにあること、またはその商品のことを言います。つまり、商品を仕入れたが、まだ売れていない商品のことを言います。
事業活動を行う上では、この「在庫」についても把握しておかなければなりません。
それでは、さきほどの例題を使い、「在庫」について考えてみましょう。

例題の(1)で求めた「儲け」の金額と、(3)で求めた「現金」の残高から考えます。
「元手」からスタートして、商品を購入(仕入)し、それを販売(売上)し、儲けた金額は、400,000円です。
その後の現金の残高は、2,200,000円です。儲けの 400,000円に対し、現金は200,000円しか増加していません。「儲け」と「現金増加」が一致していません。差額が200,000円あります。それはなぜなのでしょうか?
理由は、この200,000円の差額は「在庫」として残っているのです。まだ現金化されず、「商品」という「資産」で残っている状態です。

「会計」では、この「在庫」の管理も重要になります。なぜなら、すでに「現金」が出ていって、「商品」というものに変わっていますが、「資産」に変わりがないからです。
また、「モノ」に変わっている、ということは、スタディ1でも学びましたが、今後、「価値」が下がる可能性もあります。つまり、現金で仕入れた際の金額では売れない可能性が出てくるのです。「モノ」を仕入れて売る、というビジネスでは、この「在庫」をおろそかにしないように、注意する必要があります。

【ワンポイント】
この「商品」を仕入値で表現するのか、売値で評価するのか、という議論がありますが、原則としては「仕入値」で評価します。
理由は、「甲子園の土地」の場合と同じです。商品にとって仕入値だけが、一度でも取引が成立したことのある客観的数値だからです。

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