マイホームを買おう!と思ったら、多くの人がまず気になるのが「住宅ローン」のことかもしれません。一生の中でも1、2位を争う大きな買い物といわれる住宅購入をギャンブルにはできませんよね。前シリーズ『マンションが買いたくなったら読む赤本』でマンション購入を決めた山田さんのお宅の事例を通して、住宅ローンを利用するときのポイントをおさえましょう。
vol.3では、無理のない住宅ローンの返済額を導き出すための考え方を見ていきます。
Contents
無理なく返せる金額の計算法
家賃と毎月の貯蓄額を足した金額でよいか
美香:じゃあ具体的に、うちは月々いくらローンを返せるのかしら?
翔太:単純に考えれば、今のアパートの家賃に、月々の貯蓄額を合わせた金額だな。今の家賃が10万円、月々の貯蓄額が5万円だから、月15万円のローンが支払えるということだ。
美香:ちょっと待って。マンションには管理費や修繕積立金が毎月かかるのよ。固定資産税や都市計画税などの税金や、マイカーが必要になったら駐車場代もプラスしなければいけないわ。
現実は予想以上に厳しいもの。「たぶんお給料が上がるだろう」「育児が一段落したら共働きしよう」「家計をもっと切り詰めよう」などの楽観論はあまり役に立ちません。今どきはなかなか給料が増えないのはもちろん、リストラの危機もいつやってくるかわかりません。現実をきちんと見つめ、無理なく返済できる金額を試算することが大切です。
マネープランは、ライフプラン抜きに考えてはいけない
もうひとつ忘れてはいけないのが、将来のライフプラン。住宅ローンは20年、30年といった長いスパンで支払っていくもの。その間にもしかすると子どもが増えるかもしれませんし、将来の子どもの教育費についても今から考えておかねばなりません。特に子どもの学費は、まとまった金額が毎年必要になりますから、家計への負担が大きくなります。さらに、今までずっと低金利が続いていたローン金利も、景気がよくなれば確実に上昇するでしょう。変動金利や短期の固定金利を選ぶ場合は、金利が上がった場合のシミュレーションをしておくことも必要です。
以上の理由から、ライフスタイルが変わっても無理なく払い続けていくためには、ローンで借りるお金はやや低めに抑えるのが正解です。もし余裕ができたら、繰り上げ返済や将来への備えに回しましょう。
管理費と修繕積立金が必要な理由を知っておく
「月々ローンをいくら支払えるか」が重要なことは言うまでもありませんが、そればかり考えるのではなく、毎月必ずかかってくる管理費と修繕積立金についても、きちんと知っておく必要があります。管理費とは共用部分の清掃やゴミ出し、エレベーターの点検など、管理員の日常的な業務に使われる費用で、修繕積立金とは外壁の補修や屋上の防水工事など、建物を長期的に維持するために使われる費用のことです。マンションのよし悪しは管理のよし悪しに左右されますから、管理費は「安ければいい」というものではないのです。
美香:管理費は快適な住み心地を維持するための必要経費なのね。
翔太:将来売却するときの資産価値にも大きく影響してくるから、修繕積立金が安すぎるマンションは逆に心配だな。
管理費はマンションによって異なりますが、「小規模マンションとタワーマンションはやや高め」と言われています。スケールメリットが得られにくい小規模マンションは世帯数が少ないので一戸にかかる負担が大きく(専有面積によって按分されますが)、超大型のタワーマンションは共用施設が充実しているぶん、維持管理費が多めにかかるというわけです。
湾岸などに建つ大規模タワーマンションが人気です。「眺望がいい」「夜景がきれい」「ランドマークとしてのステイタスがある」などの理由から「資産価値が目減りしにくい」と言われていますが、その反面「スケールメリットがあるわりには管理費が高い」という声も。その理由として、「外窓などの清掃作業に手間がかかる」「セキュリティに高い費用がかかる」「プールやフィットネスクラブ、スカイラウンジ、ゲストルームなどに維持管理費がかかる」「コンシェルジュスタッフを雇う費用がかかる」などが挙げられます。「ホテルライクで高級感がある」「セレブリティ感覚が味わえる」と評判のタワーマンションですが、その代償として、それらを維持するコストが管理費に上乗せされることを頭に入れておきましょう。
▶︎vol.4に続く
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【出典・参考文献】
山崎隆『東京マンション資産価値予測 DATA BOOK』(ダイヤモンド社)
泉正人 cafeglobe「美マネ experience」