住宅購入を決めても、新築物件を買うか中古物件を買うかはなかなか判断の難しいテーマです。値段のほかにも物件選びの重要な基準はたくさんあるのですがあなたはいくつ思いつきますか。
『マンションが買いたくなったら読む赤本』vol.2では、物件選びの基準をチェックしていきます。
後悔のないマンション選び
中古の物件価格の安さに飛びついてはいけない
美香:vol.1でマンションを購入することは決めたけど、新築にするか中古にするか悩むわね。
翔太:vol.1で「賃貸と分譲」を検討したように、それぞれの特徴を挙げて比較してみよう。
新築マンションの特徴は「何もかもが新品できれい」「オートロックや宅配ボックス、フルオートバス、ハンズフリーのインターホンなど、最新の設備が整っている」「二重床や二重天井の物件が増えているため、配管などのメンテナンスやリフォームの対応がしやすい」「ペットが飼える物件が多い」「税制面で優遇措置を受けやすい」などが挙げられます。中古マンションの特徴は「立地がいいわりに価格が安い」「購入前に現物を確認してじっくり検討できる」「管理状態や近隣住民の状況を把握できる」などがあります。中古の場合、「平均的なローン返済額は新築の約3分の2で済む」と一般的に言われていますが、その上に購入時に上限で(物件価格の3%+6万円)+消費税の仲介手数料がかかることを忘れてはいけません。
たとえば消費税が8%のときに3,000万円の中古物件を買った場合、(90万円+6万円)+消費税8%=103万6,800円の仲介手数料がかかります。消費税が10%になれば105万6,000円です。また壁紙やフローリングなどを取り替える場合、リフォーム代もかかりますから、一概に物件価格だけを見て「安い!」と飛びつくのは禁物です。事前にしっかりお金の計算をしておきましょう。新築と中古、両方のメリットとデメリットを頭に入れておけば選択肢が広がり、理想のマンションを探すことができるでしょう。
中古を選ぶ基準とは
中古を選ぶ基準は、「将来再び売りに出したとき、売れる物件かどうか」。着眼点は「ブランド」「管理状態」「耐震性能」の3点です。また、「売り主がなぜ売りたがっているか」、売る人の視点に立って考えてみると、判断材料になることもあります。
中でも特に重要なのは「耐震性能」です。耐震基準は1981年6月に改正されたので、1982年秋以降に建てられたマンションならまず安心です。ただし20階以上の大規模マンションの場合、工期は2年以上かかりますから、新しい耐震基準を満たしているかどうかは事前に確認したほうがいいでしょう。
見た目よりチェックすべきは、 デベロッパー
美香:この前、駅前のモデルルームを見に行ったの。カフェみたいなかわいいリビングで、寝室はおしゃれだし、キッチンは広くて機能的で、まるで映画に出てくる家みたいだったわ。
マンションのモデルルームにふらりと入って、おしゃれなインテリアや最先端の設備についうっとりしてしまう人は多いもの。しかしモデルルームがかっこよく素敵に見えるのは、プロのインテリアコーディネーターが腕によりをかけて空間演出しているからです。見た目で舞い上がってはいけません。美香さんに限らず、多くの人がマンションの立地、金額、外観、設備仕様に目を奪われてしまいがちですが、実はそれよりも大切なのは「デベロッパー選び」。デベロッパーとは直訳すると「開発業者」のことで、簡単に言うと土地を仕入れてゼネコンに建物を作らせ、部屋を分譲する事業主(売り主)のこと。
財閥系、電鉄系、金融系、専業系などさまざまなデベロッパーがありますが、選択の基準は「知名度やブランド力のある大手」。大手のデベロッパーほど大手のゼネコン(施工会社)と連携するため、安易な手抜きマンションを作ることは考えにくいですし、アフターサポートもしっかりしています。知名度のない小規模の会社を選んだ場合、購入後に万が一倒産してしまったら、アフターサポートの保証がありません。モデルルームで夢を見る前に、まずはデベロッパーを確認しましょう。
▶︎vol.3に続く
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【出典・参考文献】
山崎隆『東京マンション資産価値予測 DATA BOOK』(ダイヤモンド社)
泉正人 cafeglobe「美マネ experience」