確定拠出年金を始めたいけれど、難しくてよくわからない…。そんな人のために、確定拠出年金とは?というところから、確定拠出年金のメリット、活用のためのステップ、口座開設などを説明していきます。
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確定拠出年金とは?
簡単に説明すると、「公的年金」+ α の制度です。公的年金(厚生年金、国民年金)に上乗せする制度です。
確定給付と確定拠出の違い
確定拠出年金と似ている言葉に、確定給付年金があります。確定拠出年金とは運用する金額を決めて、老後のお金を作る制度になります。一方で確定給付年金とは、受け取る金額を決めて、老後のお金を作る制度になります。
確定拠出年金の活用に必要な5ステップ
確定拠出年金を活用するのに必要な手順を見てきます。
手順は以下の5つです。
1)制度を把握する
2)税金のメリットを知る
3)商品を選ぶ
4)受け取り方を決める
5)口座を開設する
それぞれのステップの詳細を見ていきましょう。
1)制度を把握する
確定拠出年金のタイプは2つあり、個人型と企業型です。個人型は、掛金は自己負担ですが、企業型は、掛金が企業負担の場合と自分の給与から出す選択制があります。マッチング拠出がある企業もあるので、自分の会社の制度を調べてみましょう。
2)税金のメリットを知る
確定拠出年金は、3つの場面でメリットがあります。その場面とは
1)掛金拠出時
2)運用時
3)受け取り時
の3点です。
1)の掛金拠出時のメリットは、掛金の全額が所得控除の対象になり、「所得税・住民税が軽減となる」ということです。
所得税・住民税が軽減される。
所得税・住民税が軽減とは具体的にどういうことでしょうか?まず、確定拠出年金の掛金は全額所得控除されます。所得控除とは、税金を計算する元となるもので、課税所得から差し引いていくものになります。
課税所得400万円、所得税10%なら所得税は40万円です。課税所得300万円、所得税10%なら所得税は30万円ということになります。所得税は人によって税率が異なりますが、いずれにしても課税所得を圧縮できると、税金額を下げられます。
一方、住民税の税率は一律約10%です。
源泉徴収票の以下の部分を見てみましょう。
課税所得を抑えれば、住民税も抑えることができます。
つまり、確定拠出年金の運用額をあげることで所得税と住民税を節税することができるのです。例えば、所得が350万円の人が確定拠出年金で月2万円積立てたら、トクする税金はどれくらいでしょうか?掛金総額年24万円となり、4万8,000円の税金が軽減されます。(所得税10%、住民税約10%)
※ただし、その他の控除額や家族の数による。
もし、35歳の人が60歳まで月2万円を積み立てると税金はどれくらいおトクになるでしょう?(所得税率は10%とします)60歳まで25年間積立したとき掛金の税金軽減額だけで120万円おトクになります。
※ただし、その他の控除額や家族の数による。
定期預金の利息や投資信託で得た利益にかかる税率は20%程度です。(復興特別所得税込で、20.315%)しかし、確定拠出年金の中で運用すると、定期預金の利息や投資信託の利益への税金がかかりません。
3)商品を選ぶ。(確定拠出年金で運用できる商品は?)
確定拠出年金は運営管理機関によってラインナップは異なりますが、運用商品をいくつでも自由に、好きな割合で、決めることができます。
商品の種類は「元本確保型」と「元本確保型以外」に分けることができます。元本確保型とは、その名の通り額面割れをしない金融商品で運用することです。具体的には、「定期預金」「保険」などが該当します。
元本確保型以外は、「投資信託」「株式(国内・海外)」「債券(国内・海外)」「不動産(国内・海外)」「バランス型」など、額面割れのリスクが伴う商品が該当します。
運用時に出た分配金、値上り益は非課税となり、利益が丸ごと手取りになります。これが、確定拠出年金の運用時のメリットになります。
4)受け取り方を決める
確定拠出年金は、受け取りの自由度が高い制度です。受け取り開始時期は原則60歳から70歳までの自分の好きな年齢を選ぶことができます。また、受け取り方法も一時金・年金どちらでも好きな方法で受け取りが可能です。
年金で受け取る
年金で受け取る場合には、以下の3つの方法があります。
・確定年金
・保証期間付終身年金
・分割払い年金(取り崩し)
※3つの方法は、運営管理機関によって異なることがあります。
5~20年で受け取り年数の設定が可能で、年何回で受け取るかも設定できます。ただし、「確定拠出年金の加入期間10年以上」の条件を満たしていない人は、60歳から受け取れません。また、控除を受けることもできますが「受け取り時は原則課税」という点も注意が必要です。控除としては、「公的年金等控除」が使えます。公的年金等控除とは、年齢及び年金額に応じた額が所得から控除されることをさします。
具体的には、
・65歳未満なら、70万円/年まで
・65歳以上なら、120万円/年まで 税金がかかりません。
一時金で受け取る
一時金で受け取る際は、退職所得控除が使えます。勤続年数によって、その計算式は異なってきます。
・勤続年数が、20年以下の場合
退職所得控除額= 40万円✕勤続年数(80万円に満たない場合には、80万円)
・勤続年数が、20年超の場合
退職所得控除額= 800万円+70万円✕(勤続年数-20年)
これだけは覚えておきたい確定拠出年金ルール
原則60歳までは引き出せません。税制優遇が手厚いかわりに、原則60歳までは引き出せない仕組みとなっているのです。見方を変えれば、「意思が弱くても老後のためのお金を貯められる」と捉える事もできます。強制的にお金を積み立てられるので、「老後のためのお金」と別枠でとっておき、使いすぎを防ぐようなものです。ただ、掛け金はしっかり自分の生活と向き合い、無理のない範囲に設定しましょう。
5)口座を開設する
個人型確定拠出年金(iDeCo)で口座開設先を選ぶポイントとしては以下の3つを確認しておきましょう。
・運用商品のラインアップ(自分にフィットする商品があるか?)
・口座管理の手数料(コストは安いか?)
・コールセンターやウェブサイトなどのサポート体制(充実しているか?)
掛け金はどう設定する?
上記の3つを確認し、口座を開設したあとは、掛け金をきめていきます。掛け金の決め方にも3つあります。
①自分の年金資格から、設定可能な掛金上限を確認する。
②毎年払っている所得税から税制優遇がどれくらい受けられるかチェック
→そもそも払っている所得税・住民税が少なければ税制優遇メリット少ないです。住宅ローン減税等で払っている所得税・住民税が少ない人は注意が必要です。
③老後に欲しい金額から逆算
→老後の資金目標をたてて、そこから必要な金額を逆算していきます。
まとめ
まとめると、確定拠出年金を使うメリットは以下の2点です。
①税制優遇を受けて老後のお金が用意できる
②長期投資・継続投資が自然にできる
・60歳までの長期投資
・毎月の掛け金から運用商品を購入・投資していく仕組み
これらを理解し、コツコツと老後資金を準備しましょう。