身近な税金の種類と計算方法|所得税・住民税・消費税

2019年12月20日

身近な税金について学ぼう

私たちが生活する上で避けては通れないものが、「税金」です。
この税金について、知っているかいないかで、私たちの手元に残るお金は大きく変わります。

私たちにかかってくる税金の概要を知る

私たちのまわりには、たくさんの「税金」があふれています。
個人が負担する「所得税」や「住民税」、モノやサービスを購入した際に支払う「消費税」、そして車を所有している場合に支払う「自動車税」など、税金の種類はたくさんあります。
では、その「税金」のことを私たちはきちんと理解しているでしょうか?
例えば、

  • 毎月の給料から天引きされている「所得税」は、なぜ引かれているのか?
  • 毎年7月から天引きされる「住民税」は、いつの分の税金か?
  • 「年末調整」で戻ってくる税金は、どうして個人差があるのか?
  • 「消費税」は、どのような仕組みになっているのか?

会計の知識を身につけ、それを活かすためには、「税金」のことも知っておくと便利です。時には、「税金」の知識がないことで、「損」をしてしまうこともあります。
また「税金」のことを知って、自分も税金を支払っている、という自覚を持つことは、大切なことです。
これは「社会貢献」に参加していることにもつながります。その意識を持ち、是非、「税金」を払うことに「自覚と誇り」を持ちましょう。

身近な税金の種類と計算方法|所得税・住民税・消費税

日常生活で、私たちにかかわりの深い税金といえば、「所得税」「住民税」「消費税」が挙げられます。
これらの税金の基本構造と計算方法を押さえておきましょう。

所得税とは

所得税」とは、個人が得た収入に対して課せられる税金(国税)です。課税期間は、毎年1月1日から12月31日(暦年)です。税率は、5%から 40%で、所得の金額によって、次のように段階式になっています。

課税総所得金額

納付の方法は、申告者自らが所得金額と納税額を計算して、納付します。これを「申告納税制度」と言います。つまり、原則は「確定申告」が必要です。ただし、例外もあります。サラリーマン(給与所得者:給与 2000万円以下)の場合は、勤務先の会社が所得金額と納税額の計算を代行してくれます。それが「年末調整」です。
それでは、「年末調整」とはどのような仕組みなのでしょうか。

年末調整とは

会社は従業員に給与を支払う際、所得税を差し引いて支払います(これを「天引き」と言います)。この所得税はあくまでも、一定の仮定の基で計算されています。つまり、確定ではありません。個人の所得の確定は「暦年」ですから、所得税が確定できるのは、1年(1月1日から12月 31日)経過してからです。その年の最後の給与が12月に確定し、支払われて初めて、個人の1年間の所得が決定します。決定することで、ようやく「所得税」がいくらになるのかを計算できることになります。
そこで、「年末調整」が行われます。そして、毎月一定の仮定の基で計算され、天引きされた「所得税」と、決定した「所得税」の額を比較して、1年間で天引きされた額の合計の方が、決定した額より多ければ、「還付」になります。反対に、少なければ「納付」になることもあります。

所得税の計算方法

住民税とは

住民税」とは、個人に対して課せられる税金(地方税)です。
課税期間は、「所得税」と同様に、毎年1月1日から12月31日(暦年)です。「住民税」の一番の特徴は、「納付の時期」が「所得税」とは異なることです。所得税が現年納付に対して、住民税は翌年納付です。また、翌年の6月から翌々年の5月にかけて、2年にまたがって支払います。
「住民税」を細かく分けると次の2種類があります。

  • 「所得割」:所得を基準に計算するもの。税率10%
  • 「均等割」:所得金額にかかわらず、定額で課税されるもの

例えば、都県民税 1,000円、区市町村民税 3,000円といったものです。

所得税の押さえるべきポイント

所得税に関する規定は非常に複雑かつ膨大なのですが、押さえるべきポイントはそれほど多くはありません。シンプルにまとめたので、1つずつ押さえておきましょう。

所得控除とは何か?

(収入 – 経費 – 所得控除)× 税率 – 税額控除

所得控除とは、所得税計算における「課税所得」の計算において差し引くことができる項目で、次のようなものがあります。

税額控除とは何か

住宅借入金等特別控除(住宅ローン控除)

住宅ローン年末残高 × 控除率 = 控除額

税額控除とは、所得税計算における「税額」の計算において差し引くことができる項目です。
このように考えると、先ほどの所得控除より、この税額控除の方がインパクトが大きいことが理解できると思います。

還付とは何か

還付とは、その名の通り「還ってくる税金」です。
ただし、このお金は天から降ってくるわけではありません。「還ってくる」ものである以上、「一旦は払った税金」なのです。
そのことを前提に、「還付」が本当にトクなのかどうかについて考えてみましょう。

還付は結局トクなのか

還付とは「(一度払った税金が)還ってくる」ものである以上、理論上「トク」になることはありません。
可能性があるとすれば、

  • 減価償却費をコントロールする
  • プライベートな出費を経費にする

ことなどですが、これは法律上明らかに「アウト!」です。

「税金を払う」というのには2つの意味があります。1つが、文字通り「お金を国や自治体に納める」という意味です。もう1つが「私はこんなにお金が稼げる人間です」という証明書を手に入れるという意味です。長い目で見て、融資を受けてビジネスを大きくするのであれば、税金を安定して毎年納めた方が賢明なケースもあるのです。

消費税

消費税も私たちにかかわりの深い税金です。
今後、増税基調が明らかなこの消費税は、ビジネスのみならず、家計の面から押さえておきましょう。

消費税とは

消費税」とは、商品やサービスを支払う際に支払う「税金」です。
「消費税」の特徴は、「所得税」や「住民税」(直接税)と違い、「税金」を「払う人」と、「納める人」が異なることです。商品やサービスの購入者である消費者が「税金」を負担し、その商品の販売やサービスの提供を行った事業者が納税します。このような「税金」のことを「間接税」と言います。

増税の前に買うべきもの、買ってはいけないもの

消費税は、今後増税される見通しが強い税金です。ある研究では消費税は最低18%にしないと、日本の財政はもたないという試算もあります。将来、100万円の車を買ったら、18万円もの消費税を払う必要があるかもしれないのです。
では、この消費税増税前に買うべきものはどんなものなのでしょうか?
条件は以下の3つです。

  1. 高価なもの
  2. 値下がりしにくいもの
  3. どうせ買うもの

実はこの3つの条件を満たすものというのはなかなかありません。よく「増税前に買うもの」の代表格とされる「マイホーム」も例外ではありません。住宅は景気に与えるインパクトが大きいので、増税前には必ず新たな「住宅ローン減税」の拡充を盛り込む可能性が高いからです。これは自動車であっても同じです。

直接税と間接税

税金には、大きく分けて2つの納め方があります。「直接税」と「間接税」です。

直接税と間接税

「消費税」は、消費者が支払った「消費税」を事業者が預かり、その預かった消費税を事業者が国に納付する仕組みになっています。

以上が、私たちに身近な税金です。

もし企業に勤めている場合、「所得税」と「住民税」については、勤務先の会社が給与から天引きをして、納付の代行をしてくれます。すると、自分自身では、実際にいくらの税金を支払っているかが認識不足になってしまいがちです。
しかし、会計の知識を身につけ、それを活かそうとしているのであれば、税金を把握できると良いでしょう。
そして、企業が収入に対して、費用を管理しているように、私たち個人も「税金」を費用として位置付けて、管理することが大切です。

投資にかかわる税金計算のポイント

投資にかかわる税金計算総まとめ
  1. (収入 – 経費 – 所得控除)× 税率 – 税額控除
  2. ひとまとめにする所得と個々に計算する所得がある
    (損によって益を小さくすることも! 相殺!)
  3. ひとまとめにする所得は、所得が増えるほど、税率も上がる
  4. 損の中には、来年益が出たときに相殺できるものがある(損の繰り越し)

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