持ち家と賃貸のメリットとデメリットについて、前編では「感覚」を「数字」に置き換えながら「資産価値」と「柔軟性」について比較しました。この記事の後編では「所有欲」と「老後」という切り口で解説します。
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持ち家?賃貸?対決 その3 持ち家は自分の城だ、モチベーションも上がる!
持ち家は、まさしく自分の城です。
「仕事を頑張るモチベーションになっている」という人も多いでしょう。一方で、住宅ローンという大きな借金を背負うため、それがむしろ心の負担になるという人もいます。このような個人差もある「感覚」について、お金に換算して「数字」で考えていきます。
モチベーションを上げる方法は、持ち家以外にも沢山あります。例えば、マッサージやエステにいったり、おいしい食事や旅行を楽しむ人もいます。このような「自分へのご褒美」費用として、普段の生活でいくら使っているかを計算していきます。たとえば、自分へのご褒美費用として年間36万円使っている場合、30年間に換算すると1080万円使っていることになります。この「自分へのご褒美」の変わりに自分の城を持つことでのモチベーションアップは、年間いくらの価値があるかを考えてみます。具体的には、持ち家にすることで、自分へのご褒美への費用をいくらまで減らせるかという金銭的メリットに置き換えて比較をしてみましょう。
また持ち家では、設備や内装を自分好みに改修することができる点も大きな魅力です。先程と同じ様に、これらの満足度や心地よさという価値を金額に換算して考えてみると良いでしょう。
ただし、持ち家の場合は、建物全体の大規模修繕に費用がかかる点に注意してください。仮に80㎡のマンションで、塗装や防水、電気や機械設備など代表的なものを国土交通省が出している平均値から算出すると、30年間で合計約500万円ほど必要になります。
なお、賃貸にも「DIY可能物件」のように自分好みのお部屋を楽しめる物件があります。DIY可能物件は、貸主がDIYをすることをあらかじめ承諾しているお部屋のことです。その他、壁紙や小物、キッチンなどを選べる「カスタマイズ賃貸物件」などもあります。
持ち家?賃貸?対決 その4 賃貸は老後に住居費が掛かり続けるけれど・・・
四つ目は、「老後」という切り口から考えてみます。
持ち家のメリットは、住宅ローンの完済後は住居費がほとんどかからなくなる点です。人生100年と言われる時代において、長生きしても住居があるという安心は大きなメリットです。また、いざとなればいくつかの方法でお金に換えることができます。30年後に資産価値の残る物件を選んでいれば、売却しまとまったお金に換えることができます。そのお金を元手にして、コンパクトな家に買い替えたり、老人ホームの入居費用にすることも可能です。また、売却せずに賃貸することで家賃収入を得る方法もあります。さらには売却せずに融資を受けるリバースモーゲージという方法もあります。これは持ち家に住んだまま、家を担保にお金を借りる融資制度で、死亡後に持ち家を売却し、一括返済などで借入金を返済します。住宅ローンとは異なり、借入期間中は金利のみの返済となるため、負担が少ない点が魅力です。老後の生活資金にあてたり、リフォーム費用や旅行費用に利用することもできます。
老後の観点で賃貸を考えると、老後も住居費がかかり続けるというデメリットがあります。たとえば月8万円の家に住むと、年間96万円です。仮に69歳から90歳まで住むとしたら、25年間で2400万円になります。その他、更新料や保証料なども掛かるため、それだけ多くの老後資金の準備が必要になるのです。また、ライフスタイルに合わせて住み替えが容易だというメリットがありましたが、老後に関しては捉え方が変わります。孤独死を恐れて高齢者の入居を嫌煙するオーナーも多く、選べる物件が限られる傾向があります。
老後観点での賃貸のメリットとしては、相続が簡単という点があります。持ち家は、子供たちに資産を残せるのですが、不動産があるために相続でもめてしまうケースもあります。たとえば相続人が2人以上いる場合などは、不動産は簡単に分割できないため、数人の共有財産として引き継ぐことがあります。一旦共有にしてしまうと、売却してお金に換えたり、リフォームなどで費用負担が必要となったときに、全員の合意が必要になります。この際に、相続人間で意見が分かれてもめてることが多々あるのです。また相続財産の中で、マイホームの資産価値が大きく現金が少ない場合は、相続税を納めるための現金が足りずに困るケースもあります。
どんな家と、どんなふうにつきあいますか?
前編・後編にわたり「資産価値」「柔軟性」「所有欲」「老後」という4つの判断基準から比較をしてきました。
これから更に長くなる人生の中では「持ち家」がよいタイミングも「賃貸」がよいタイミングもあることでしょう。どんな家でどんな暮らしをおくりたいのか、今後どんなライフイベントが予測されるのか、という考え方や状況によって、どちらも正解になりえます。
選択肢や可能性を知ったうえで、自分の人生にあわせて賢い選択をしていってください。
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