中村亨のビジネスEYE

『1分で話す』ことのメリット

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今回のビジネスEYEは『1分で話す』ことのメリットをお伝えします。「指示を与える」「相談する」「プレゼンを行う」など、ビジネスのあらゆる場面で伝える力は必要とされます。

「1分で話す」ことのメリットは多大です。
(参考:『1分で話せ』伊藤羊一著/SBクリエイティブ)


(1)孫社長にも一目置かれた伝説の「伝え方」!

著者の伊藤さんは、日本興業銀行に入行し、企業金融などに従事しながら、苦手意識のあった「伝える技術」を磨いてきました。
2011年、伊藤さんに転機が訪れます。ソフトバンクの孫正義社長の発案で孫社長の後継者を育てるという「ソフトバンクアカデミア」の募集があり、その最終選考に残れば、孫社長が直接審査するということで、伊藤さんは「すごい経営者に会うことができる、面白そうだ」と奮闘しました。すると、プレゼンは好成績を収め、また、孫社長から特別にコメントをもらうほどの伝説のプレゼンとなりました。

現在では、プレゼンのマスターとして、グロービス経営大学院でリーダーシップ科目の教壇に立つほか、起業家からビジネスパーソンまで年間300人以上のプレゼンを指導し、ピッチコンテストなどでの優勝者を続々と輩出しています。


(2)1分で話すことの大切さ

皆さんは、「お前の話はよく分からない!」「で、要点は?」といった言葉を上司から言われた経験はないでしょうか。上司や管理職に、説明をしてもなかなか聴いてくれなかった経験から苦手意識を持つ方も少なくないでしょう。

話が長いのは中身がまとまっていない証拠でもあり、相手に伝わらない一番の原因です。

短い言葉で話す、約1分にまとめて話すということは、まず自分の頭の中を整理することが前提となります。「相手に動いてもらうこと」がコミュニケーションの目的であり、その目的を念頭に置きながら、「1分で話せるように話を組み立て、伝える」ことが基本となります。


(3)相手の左脳に訴えかける

短く話すためには、「結論」「根拠」「実例」の順番で話すことが重要です。相手の左脳にすんなりと理解できる論理的な構造となります。また、「根拠は3つ並べる」を心がけて話すことで相手に伝わりやすくなります。根拠が1つの場合と3つの場合を比較してみましょう。

根拠が1つの場合
・「あのレストランに行かない?美味しいから!」

根拠が3つの場合
・「あのレストランに行かない?美味しくて、安くて、雰囲気もいいから!」

どちらの提案に、心が動いたでしょうか?圧倒的に後者の提案が良いのではないでしょうか。結論を導きだした理由を複数(目安として3点)述べることで、説得力が増すのです。


(4)相手の右脳に訴えかける

一方、右脳は想像力やイメージを扱う脳の場所となります。そこで、相手に話しのイメージを湧かせることで、さらに行動に移りやすくなります。

右脳にイメージを沸かせる手法
・写真や動画など、ビジュアルを見せる。
・例えば…と事例を挙げる。
・「想像してみてください」と言って、相手に想像を膨らませる。

  
「相手に動いてもらうこと」を目標にどう話せばいいかがまとめられています。
プレゼンを行う際の準備や心構え、その後のケア等、相手に動いてもらうためにどうするべきかの理論はとても参考になるでしょう。



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著者プロフィール

中村 亨

日本クレアス税理士法人コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティングコーポレート・アドバイザーズM&A代表。公認会計士・税理士。

監査法人トーマツを経て会計事務所を開業。600社程のベンチャー企業の経営・財務に携わる。

2005年に株式会社コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティングを設立し、約100人のプロフェッショナル集団を築き上げる。著書に『「俯瞰」でわかる決算書』(ダイヤモンド社)、『不況でも利益を生み出す会計力』(東洋経済新報社)など。