中村亨のビジネスEYE

「人生100年時代」を見据えた個人の資産形成

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令和2年の税制改正大綱は、昨年と同様にデフレ脱却・経済再生、地方創生の推進を促進し、中長期的に成長していく基盤を作ることを目指した内容となっています。

税制改正の中で個人に関わるものとして、「個人型確定拠出年金(iDeCo)」について2週にわたってご紹介しています。

受給開始年齢の柔軟化・企業年金と個人年金の条件緩和など、加入者が増えるように制度が改正されましたが、これは「人生100年時代」を見据えた変更、個人の資産形成の推進と言えるのかもしれません。

今回のメルマガでは、長期のマネープランを考える上でご参考いただける、
iDeCoと比較検討ができる金融商品と、そのメリット・デメリットをご紹介します。

◆個人型確定拠出年金(iDeCo)とは?

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、ご自身で掛け金を拠出し運用方法を選び、最後に今までの掛け金とその運用益の合計を給付金として受け取ることができる制度です。

5,000円から掛金を設定することが可能で、支払った全額が所得控除の対象になり、所得税と住民税について節税効果があります。

令和2年度税制改正大綱では、大きく3つの点が発表されました。(適用時期は未定です)
【1】加入年齢の引上げ
【2】受給開始年齢の柔軟化
【3】企業年金と個人年金の条件緩和

節税のメリットを活かしながら、老後に備えた資産形成の準備ができるiDeCoですが元本が減少するリスクもあり、ファイナンシャル・プランニングの専門知識が必要となる側面もあります。

以下では、比較検討のために類似金融商品についてもお話ししておきたいと思います。

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■類似金融商品/個人年金保険
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昔ほど、高配当・高利回りではありませんが、毎月保険料を支払い、
満期年齢になった際に年金を受け取る事が可能です。

【メリット】
・年金受取時に払込金額の約107%の受取金になります。
・長期間保険料を支払うため、受取年金額が多くなります。
・生命保険料控除として最大4万円の所得控除を受けられます。

【デメリット】
・年金受給年齢に達するまでに途中解約する場合は、
受取金額が支払い保険料よりも目減りします。

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■類似金融商品/一時払い終身保険
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一度だけ保険料を支払い、保険会社が外国債などで運用する保険商品です。
10年後に解約返戻率が約110%~120%まで上昇し、仮にそのまま20年・30年と
保有した際は、最大で約170%まで到達するなど解約返戻率の高い商品です。

【メリット】
・加入時に運用利回りが確定しており高い返戻金が受け取れます。

【デメリット】
・外国通貨で運用を行うため為替のリスクがあります。

【iDeCo との比較検討】
・iDeCoは自分で運用選択するのに対し、保険は運用を任せる為、
運用知識が無くても定期預金よりも高い運用利率を得ることが可能です。
・保険商品の場合はiDeCoのように、掛け金が全額所得控除になりませんが、
 運用利率が確定している為、将来の貯蓄の目安が付きやすいのが特徴です。

いずれの場合を選んだとしても、それぞれメリットとデメリットがありますので、皆様の財産の状況やプランニングする時期に応じて、柔軟に検討する必要があります。

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著者プロフィール

中村 亨

日本クレアス税理士法人コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティングコーポレート・アドバイザーズM&A代表。公認会計士・税理士。

監査法人トーマツを経て会計事務所を開業。600社程のベンチャー企業の経営・財務に携わる。

2005年に株式会社コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティングを設立し、約100人のプロフェッショナル集団を築き上げる。著書に『「俯瞰」でわかる決算書』(ダイヤモンド社)、『不況でも利益を生み出す会計力』(東洋経済新報社)など。