人生が変わる お金の大事な話

【Story11】日本人が投資に回すお金は金融資産の14%

これまで日本ではお金について話すことは卑しいこと、お金を欲しがるのは悪いことだという風潮があった。
また日本銀行の資金循環統計によると、(2009年9月)、日本人が投資(債券、投資信託、株式・出資金)に回すお金は金融資産のうちの約14%。この数字は、アメリカ56%、イギリス19%、ドイツ37%、フランス40%など、欧米諸国と比べてもとても少ない数字だ。


日本人があまり投資にチャレンジしないのは、公教育の中できちんとしたファイナンシャル教育を受けてこなかったからだと、僕は思っている。
もちろん、いままでの学問。職業教育も大事だが、これからは「お金」や「金融」についての教育も必要だと思う。現に、東京大学では経済学部に「金融学科」が設置され、金融についての知識や実務を学ぶことができる。
すでに時代は変わってきているのだ。終身雇用や年金といった、お金に困らない仕組みは失われた。


自分で、自分と家族を支えるお金を生み出さなければならない時代になっている。
終身雇用や年金に頼らず、自分の力でお金を増やすにはどうしたらいいのか。
お金に困らないようになるにはどうすればいいのか。
これらは、多くの人たちが考えていることだ。
だが、なかなか答えは見つからない。
だから人はみな、一生懸命に働いてコツコツ貯蓄をしている。会社をやめれば、お金の流れは止まってしまうのだから。


そのため、まるでランニングホイールの中で走り続けるハムスターのように、ひたすら走り続けなければならない。
また、たとえ独立に成功して、自分のビジネスを持つ中小企業の経営者になれたとしても、たいていは働きづめの毎日で、自分の好きなことなどできない。自分が立ち止まってしまったら、お金が入ってこないというのが現実だろう。
いずれにしても、代わりに時間や健康を失ってしまっては、元も子もない。
〈社長が働きづめの会社では、社員は安心して働くことができないな〉


とくに中小企業の多くは、社長が自らの意志と決意で経営計画を立てて、会社を引っ張っている。社長が倒れてしまうと、本人だけでなく会社で働く社員も困るし、ひいてはその家族にまで影響が及んでしまう。社員を雇う身になった僕はそう考えるようになった。



リターンとリスクは人によって違う

僕が設立したファイナンシャルアカデミーで、これまでに教えてもらったことは多岐にわたる。
スクールでは「不動産投資」「株式投資」「FX」「経済入門」「日経新聞の読み方」「会計」などについて学ぶことができる。
株や不動産、ビジネスなどへの投資にはまず「最初の投資資金(いわゆるタネ銭とが必要で、またある程度のリスクも負わなければいけないということ。そのリスクを最小限に抑える方法も学んだ。


また「投資資金」の作り方や、そのお金がやがて成長を始め、お金を生み出す資産を作ってくれるのだということも知った。
つまり、自分が働かなくてもお金が働いて、お金を増やしてくれるのである。
「お金のために働くのではなく、自分のためにお金を働かせる」
星さんが言っていたとおりのことを、開催したセミナーで、僕は成功した人たちの口から何度も聞いた。


普通、多くの人は将来の不安から、お金を稼ぐことで恐怖心をなくそうとする。お金を稼ぐことで将来の豊かさや幸せを得ようとするのだ。
だから多くの人がお金を目的として仕事をする。けれども、「お金ではなくてやりがいだよ」
と言う人も多い。
収入が全くなくてもその仕事に従事できる人は、自分のやりがいや楽しみのために働いているといえるだろう。
けれども現実にはお金のために働いている人が圧倒的に多い。
しかし、それで豊かになれたという人はどのくらいいるだろうか。
豊かさとか幸せを得るためにお金を稼ごうとするなら、お金のために働くのではない。


お金が自分の分身となって、お金を生み出してくれる仕組みを作るのだ。そうすれば、自分の時間を犠牲にすることなく、資産を増やす流れを作れる。だが、それと同時にお金を減らす可能性もある。
投資の世界ではこれを「リターン」と「リスク」という言葉で表現している。
お金を増やし資産を作ろうとするなら、リスクを低くして、リターンを高くするほかに方法はない。
このリスクとリターンの割合というのは、サイコロの出目のように機械的な確率論で決まるわけではない。それぞれがもっている知識の量、経験の量によって常に上下する。


つまり、リターンに対してどのくらいのリスクがあるか。それを診断するのは本人の能力にかかっているのだ。だからこそ、
「自分の能力を磨く必要がある。その能力が高まれば高まるほどリスクを減らすことができる」
というわけだ。このことは星さんに何度も教わって、理解できるようになってきた。
自分の能力が高まり、お金を増やす流れができれば、お金を働かせることができる。


そうした流れを、試行錯誤をくり返しながら作り上げ成功した人たちの話は、僕をはじめ、聞いている人たちの心を引きつけた。
なぜなら、資産を増やそうとセミナーに来ている人たちは、彼らから生の知識を得ることで成功体験を真似たり、失敗を避けられたりできる。自分のプラスにすることができるわけだ。