富裕層だけの特別な金融商品
お金持ちは、有利な投資案件によって、さらにお金持ちになる。
だから富裕層だけの特別な金融商品があるのではないか….
そんな話をたまに耳にします。
この話は、正しくもあり、間違ってもいます。
まず、正しい方から。
お金持ちが、投資によってお金持ちになる。
それは、多くの場合、正しいです。
というのも、お金持ちはファイナンシャルリテラシーが高いことが多く、
「良い投資」と「悪い投資」を見分ける能力を持っているから、
利益の上がる投資ができるわけで、、、
その結果としてお金持ちになっていることが多い。
見分ける能力がないと、うまくいかないばかりか、
来年上場すると言われて買った会社が潰れたり、
そもそも詐欺だったり。。
これは当たり前のことですが、投資によってお金持ちになった人は、
過去何百回という投資判断が正しかった結果によってもたらされているのです。
一方、間違っている方はというと、
お金持ち(=富裕層)だけが特別な金融商品を手にすることができる、
ということ。
富裕層の運用についてわかりやすく書かれている
橘玲氏のマネーロンダリング入門にこのような一節があります。
「現実には、「富裕層だけの特別な金融商品」などというものは存在しない。
金融市場における最大のプレイヤーは年金基金や生命保険会社などの機関投資家で、
数兆円の資金を運用することも珍しくない。
もしも運用資金の多寡によって利益が割り振られるなら、
彼らこそ真っ先に特等席を確保し、年金の運用難は起こらないはずだ。」
お金持ちの人と言っても、様々レベルがあります。
純資産100万ドル(約1億円)以上をもつ富裕層は、
アメリカに1100万人、日本に360万人、フランスに230万人。
さらに純資産5000万ドル(約50億円)以上を持つ富裕層は、
アメリカに3万8000人、中国に4700人、ドイツ4000人、
そして日本に3400人、となっています。
(ともにグローバル・ウェルス・レポート2012調べ)
もちろんまだまだその上はいるにしても、個人の富裕層の資産額をみると、
機関投資家の「数兆円」の規模には到底太刀打ち出来ない程度の金額で、
もし「お得で特別な金融商品」があるとしたら、真っ先に機関投資家にいくはずです。
このように、俯瞰して物事を見てみると、
たとえば、
「1000万円貯まったからいい投資ができるだろう」と思ったり、
「3000万円投資できる方だけの特別な情報です」なんていう話が、
間違いである可能性が高い、ということがわかると思います。
投資で成果を出すためには、結局、
「良い投資」と「悪い投資」を見分ける能力を持つしかないのです。
その能力がファイナンシャルリテラシーであり、
お金の教養なのです。