中村亨のビジネスEYE

資本金の減資からみる「中小法人」税務メリット

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中村亨の「ビジネスEYE」です。

毎日新聞社が現在の資本金41億円を1億円に減資、また旅行代理店最大手のJTBは資本金23億円を同じく1億円に減資すると発表がありました。

資本金を1億円以下にすることによって、税法上は中小企業の扱いになり、税制上のメリットを得られます。
過去にはシャープや吉本興業も大幅な減資を行っていますが、業績悪化を要因とした大企業の減資が多くなってきています。

今回のビジネスEYEでは、減資による中小法人の税務メリットをご紹介します。

 

■特例は、「中小法人」「中小企業者等」に分けて規定

一般的には資本金の額1億円以下の法人が中小法人企業とされます。
資本金の金額判定時期は期末時点になりますので、期中に減資を行えば、中小法人の諸規定の適用を受けることができます。

※中小法人とは、期末資本金の額が1億円以下の普通法人のうち、次に掲げる法人を除く。
1.大法人(資本金の額が5億円以上の法人)との間にその大法人による完全支配関係がある普通法人
2.100%グループ内の複数の大法人に株式の全部を直接又は間接に保有されている法人(①に該当する法人を除く。)

資本金の額を1億円以下に減資することで、下記のような税制優遇が受けられることになります。

■中小法人に該当する場合の各特例制度

資本金1億円の中小法人が受けることができる代表的な制度は以下の通りです。
特に節税のインパクトのあるものは次の①及び②になります。

①欠損金の繰越控除

青色申告法人で欠損金が生じた場合には、最大10年間の繰越しが可能となりますが、中小法人では100%の全額控除を受けることができます。(大法人では50%)

②外形標準課税の適用除外

赤字で課税所得がゼロであったとしても、事業を行う上で課せられる外形標準課税(付加価値割と資本割)の対象から外れることになります。

③欠損金の繰戻し還付

青色申告法人等で今期の所得金額がマイナス(欠損金が発生)となっており、前期に所得金額があって、納税があった場合は、前期に納めた税金(法人税・地方法人税に限り地方税は含まない。)の還付を受けることができます。

④法人税の軽減税率

所得金額が年800万円以下の部分については、15%の軽減税率が適用されます。(年800万円超の部分は23.2%)

※ 適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人)に該当する法人の年800万円以下の部分の所得に対する税率は、本則税率の19%が適用される。

⑤年間800万円以下の交際費等の損金算入

大法人は原則として飲食以外の交際費等については損金不算入ですが、中小法人であれば年間800万円までは損金となります。

その他、事業税・住民税の軽減などもあります。Webサイトでは合計8つの代表的な特例、減資のデメリットについても触れていますので、併せてご参考ください。

●〇●税務トピック:減資と中小法人などの税務メリット
┗ https://j-creas.com/tax-topix/6475/

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著者プロフィール

中村 亨

日本クレアス税理士法人コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティングコーポレート・アドバイザーズM&A代表。公認会計士・税理士。

監査法人トーマツを経て会計事務所を開業。600社程のベンチャー企業の経営・財務に携わる。

2005年に株式会社コーポレート・アドバイザーズ・アカウンティングを設立し、約100人のプロフェッショナル集団を築き上げる。著書に『「俯瞰」でわかる決算書』(ダイヤモンド社)、『不況でも利益を生み出す会計力』(東洋経済新報社)など。