アラフォーOLが
不動産投資デビュー
してみた。

【Story17】不動産投資家としての確定申告デビュー

はじめての確定申告への気合

1月の最終日に大森と阿佐ヶ谷の物件の契約を済ませたあと、私は投資家としての大きな壁のひとつと立ち向かうことになった。
それは「は・じ・め・ての確定申告」だ。

会社員では無縁だったこの行事。巷の「めんどう」「難しい」という風の噂だけで、実務が大の苦手の私にとっては、非常に恐れていた行事のひとつだ。
しかしここはいっちょ大人の投資家として、ホコリを立てずにスマートに対応すべきだろう。
ということで、2月に入ると、確定申告に向けての準備に着手した。気分的には「打倒!確定申告」というハチマキを額に巻くくらいの気合で作業を開始した。

まず最初は国税庁のホームページから「e-Tax」という電子申請に登録し、自力で入力をしてみた。便利そうなUIでスムーズにできそうな感触はあった。
が、初回に大間違いをヤラかして「追徴課税」や「脱税」など物騒な事態を招いてはいけない。

ということであっさりと自力申告は見限り、知り合いに紹介してもらった長野県の良心的価格の税理士にお願いすることにした。
税理士はかなりのご高齢だったので「おじいちゃんのかすみ目でゼロの桁を盛り気味で申告されやしないか」とヒヤヒヤしたものの、実際のやり取りはおじいちゃんの部下の優秀な女性がテキパキと取り仕切ってくれた。必要な書類リストもメールで丁寧に送ってくれたのだが、自宅の納税証明もワイルドに破棄している私なので、ほぼ必要な全ての資料は「イチからお取り寄せ」状態だった。

が、結局のところ3月の申告に必要な情報は2018年に現金購入した2物件のみのシンプルな決算となるため、確定申告の練習台としては程よいケースだった。(しかも10月に現金で2,500万ほど使って買った物件の収入は2ヶ月分で30万にも満たないので、収支結果もシンプルにレッド状態になるはずなのだ…)

そんなこんなで、恐れていたより必要な資料はすんなり作成できた。
強大な敵に立ち向かう勢いでハチマキを巻いていた私にはやや拍子抜けだった。空回りした気合ついでに、各資料に見出しと補足事項などを記入したタイトルシートなどの装飾をちまちまと付けたりしていた。(そんな創意工夫を施しても税金は変わらないが)

経費として計上できるものを探せ

さて、確定申告には「収入」「支出」を申請するのだが、この「支出」には「経費」と言われる「本業に関連する費用」も計上ができる。経費として認められれば、儲け分から差し引かれるため、ちょっぴり課税の対象となる額が減ることになる。

「なんかソノ筋の人っぽい!」とそわそわしてみたものの、実質活動期間2ヶ月の私は「経費」として計上できるものはほとんどなかった。
そこで私は「そうだ!Tブラザーズへの感謝の宴を開かねば」と突如思い出した。これは交際接待費に該当する。
これでシンプルな収支エクセルに、華やかな一行が加わる、と自分の思いつきにウキウキして私は早速日程調整を開始した。

2月の下旬、私の行きつけの赤坂のほどほど落ち着いた雰囲気のバルで宴は開催された。
2件同時決済の際はあれほど頼もしかったTブラザーズだが、仕事を離れると年相応の30才くらいの素朴な青年達だった。
Tブラザーズ達は夜も仕事をしていることが多いらしく「アヒージョってなんですか?」など、熟女泣かせの可愛らしい質問をしていた。店員にセレクトしてもらった白ワインも珍しそうにちびちびと舐めていた。

せっかく親しくなったので、Tブラザーズの会社の立ち上げの経緯も聞いてみた。
元々T兄が新卒で大手の不動産会社に勤務し、経験を積んだ。兄は会社の看板を借りつつも、その会社員の期間に顧客や金融機関とのリレーションは極力個人の力で築いたらしい。
そして一定の経験やノウハウを盗んだ(どうしても普通の会社員の感覚からするとそういう表現になってしまう)あと、晴れて独立したそうだ。
その際、自宅でニート状態であったT弟も引き入れ、弟の社会復帰も同時実現したという美しい兄弟愛の話まで聞けてしまった。

「あんた、エエ仕事したじゃないの!」と兄貴の肩をばんばん叩きながら、熟女の酔いテンションはどんどん昂ぶっていった。

交際接待のお作法!?

楽しい時間はあっという間に過ぎ、お会計となった。
私は元々想定していたように「私から誘ったことですし、色々サポートしてもらったので、ぜひ私が!」と鼻息を荒げて伝票に手を伸ばした。

すると、T兄が私を上回るスピードとエレガントな手付きで先に伝票を奪い「いいえ、マツコ様はお客様ですから。弊社の経費でお支払いします」と、先程の青年の顔つきではなく一気に不動産会社の経営者の顔つきになった。
酔いも回って混乱した私は「あれれ?そうか。買ったのは私だからこれはこれで合ってるのか!?」と思ってぬぼーっとしているうちに、確定申告で計上できる唯一の経費を失ってしまった。

でも彼らからすると、というか通常のビジネス場面に当てはまればそりゃそうだろう。自分達の仲介で「買っていただいた」お客様におごられるわけにはいかないだろう。

最初はおごる気満タンだった私も「むー、そんなつもりじゃなかったんだけどなぁ。これじゃまるで当たり屋みたいじゃないか。いや、リアルにたかり屋か!?」と意気消沈した。そして、あまりライトに業者さんをお誘いして「飲み会当たり屋:マツコ」と不名誉な評判が業界に広まらないように気をつけねばと気を引き締めた。

そして次の日、結局経費欄もスカスカのままの収支報告書を長野の税理士事務所にしょぼくれ気味で送付したのだった。




【参考:税理士事務所から指定された確定申告に必要な書類一覽(あくまでマツコのケース)】
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1 H30年 税務署に提出した事業開始届、青色申告届などの書類の写し

2 H30年 マンションを購入した契約書の写し

3 事業を開始してからの、収入、支出がわかる書類
パソコンに入力してあれば、データーでもOK(エクセル等)
市販のソフト等を使用していれば、プリントする 

4 昨年度、会社に勤務していたら、源泉徴収票の原本

5 社会保険の支払いがわかる証明書等
退職後、任意継続で会社の社会保険に加入していればその金額
国民健康保険に加入していれば、平成30年1/1〜12/31までに支払った金額 
国民年金、国民年金基金は証明書の原本
各種、生命保険の証明書 地震保険などの証明書 原本

6 他、ふるさと納税などの寄付金があればその証明書 原本   
iDeCoなどの小規模共済に加入して入ればその証明書 原本

7 医療費が10万円以上あれば、その領収書 原本  
セルフメディケーションを選択する場合も、領収書の原本
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