アラフォーOLが
不動産投資デビュー
してみた。

【Story1】真夏の物件視察デビュー

2018年8月。真夏のどうかと思うほどのうだる暑さの昼間、私は東京の信濃町を歩いていた。
今日は会社の有休を取って「は・じ・め・ての物件視察」の日だ。

半年前から「不動産投資スクール」の収録受講を2周(=全15回を2回ずつ視聴)した。知識はそこそこついた自負はある。今日見に行く予定の6物件のマイソク(図面)の取り寄せも視察の道順もタイムスケジュールもバッチリだ。

心配ごとがあるとするならば、自分自身が不動産投資の活動を「楽しんで」できるか、という点だ。

もともと8年前に自宅の区分マンションを購入する際は物件を50件ほど見て回った。毎週末に物件を見に行き、見学後はその街の居酒屋でオリジナルの物件採点表をつけていた。飽きないどころか、購入物件を決めたあとは「趣味がなくなった。。」と燃え尽き症候群に陥ったくらいだ。だから楽しんで不動産投資はできる自信はあった。
問題は「THE:体力」だ。大事なことなので、もう一度。「THE:体力問題」が、資金面でも戦略面でもなく、私には大きな課題に感じられていた。

というのも、8年前と違い、私は齢43歳。スポーツとは無縁、動きといえば自宅で猫を追いかける程度。趣味は毎晩の飲み歩き。港区赤坂という都心に住んでいるので、(大きな声で言えないが)山手線の内側移動はほぼタクシー。 こんな私が歩いて事業として何件も現地視察を楽しんでできるのか。しかも一棟となると「埼玉県、東武なんとか線某駅徒歩30分」という物件もあるだろう。私にとっては立派な小旅行だ。

そんなこんなで、あえて「どうかと思うほどの真夏日」を視察デビュー日にマゾ的に選んだのだ。
物件ごとの詳細は別途触れるが、この日は信濃町2件~笹塚4件を5時間ほどかけて回った。服装もアウトドアとは無縁ゆえ、普通のワンピース(ついでにヒール)でだ。

結論としては、、、私は鼻血が出るほど物件視察に興奮し、想像以上に「楽しんで」いた。

初めて行く街、地図で眺めていた道を実際に歩いてみる。お目当ての番地が近づくと鼻息が荒くなり、エントランスに入り心のなかで「こんにちは~」とモジモジ呟く。そしてスクールのチェックリストを元に、いっちょ前の投資家気分でチェック、チェック、チェック。ポストで空室状況をチェックし、非常階段の手すりなどから管理状況をチェックし、ガス栓の縦横もチェック。すべてのプロセスが楽しかった。気に入った物件も気に入らない物件との出会いもすべて新鮮だった。
「こ、こんな楽しい活動で金が稼げるのか」と最後に視察した笹塚のマンションを出たあとは声に出して唸ってしまったくらいだ。(いや、稼げるかどうかはわからないが)

そしていつしか私は笹塚の焼き鳥屋で生ビールジョッキ(大)を手にしていた。いや、いい大人が「いつしか」というのもどうかと思うが、まさにそんな状態だったのだ。 予定した6物件を見終わった時は既に夕暮れ。達成感と高揚感とともに、ここ数年で最大級の疲労・水分補給の必要性に襲われていたのだ。興奮して気が付かなかったが、懸念していた体力不足にふさわしい疲労もきっちり存在していたというわけだ。本能的に身体が「熟女の体力ゲージ、98%低下!コーション、コーション!」とアラームを鳴らし、その結果、私を焼き鳥屋のカウンターに連れ去ったのだろう。

ビールの泡でほろ酔いになりながら、私は思った。「次の重要なアクションプランは、・・・帽子とスニーカーを買うことだ」と。