「すごく欲しい、必要な物だ!」と思って買ったはずなのに、1か月後にはほとんど出番がなくなり「無駄遣いだったな」と反省した経験がある人は多いのではないでしょうか。この記事では、賢いオンナの買い物講座と題して「無駄遣いが減ってお金が貯まる5つの方法」を解説します。
行動ファイナンスで賢い買い物ができるようになる
突然ですが、質問です。定価10,000円・送料別800円のA店の靴と、定価10,800円・送料込のB店の靴、あなたはどちらを買いますか?
このように、実質は同じ金額なのに一方を「お得」や「安い」と思ってしまうことがよくあります。人間は必ずしも合理的に判断して行動する訳ではありません。こうした点に着目し、人間の行動を観察して実証的にとらえた学問を行動経済学といいます。人間の心理的、感情的な部分を分析し、結果からわかったことが、私たちの身の回りの買い物の場面で「マーケティングの罠」として隠されているのです。その代表的な7つの罠をご紹介します。
マーケティングの罠1 バーゲンセールの罠=アンカリング効果
とあるバーゲンセールの洋服を例にします。定価5万9,800円が50%割引となり2万9,900円の洋服Aと、定価2万9,900円の洋服Bと、どちらが買いたくなるでしょうか。バーゲンセールなどでは、定価の値段に赤い線が引かれ書き直されていることがよくあります。この「アンカー」(今回の場合は定価価格)に引っ張られて「安い」と思って買ってしまう人が少なからずいるのです。しかし、本当の定価が5万9,800円だったかどうかはわかりません。
マーケティングの罠2 数量・期間限定や残量の表示=希少性効果
定価19,800円のバックAと、定価19,800円で日本限定発売のバックB、どちらに魅力を感じるでしょうか。単なる価格表記だけではなく、「お一人様〇個限り」「期間限定」「日本限定発売」というフレーズが加わることで、希少価値が高まります。同様に、「残りあと〇個」「在庫わずか」などの表示も消費者の興味を高めるのに効果的です。このように、数量・期間の限定、残量の表示には、希少性効果を利用して買ってもらおうという罠が隠されています。
マーケティングの罠3 小さな欠点が信頼性につながる=参照値
人間には、よい面ばかりを見せられると疑りたくなる心理傾向があります。この心理を利用し、あえて小さな欠点を見せることで、逆に信頼性や好感度をアップさせることができます。また、マイホームを購入した後だと、普段は高いと思うはずの10万円のソファも安く想えてしまうことがあります。このように数百万円の高額商品と比べると、数万円の買い物が小さく感じてしまうことなどを、コントラストの原理といいます。そこれらの法則は、車や結婚式など、比較的大きめの買い物やイベントに利用されることが多いです。
マーケティングの罠4 権威を利用する=ハロー効果
定価19,800円のバックAと、定価19,800円・モデル××さんも愛用のバックBと書かれると、どちらに興味が湧くでしょうか。「モデルの○○さんも使っている」「料理人○○さんが推薦」などと書かれていると、付加価値が加わることで魅力が増して伝わる効果があります。しかし、こうした著名人は広告料をもらって宣伝に協力しているケースもあり、宣伝が著名人の仕事のひとつかもしれないいうことを念頭に置いて判断をするようにしましょう。
マーケティングの罠5 高いものを買うと、高いものであわせたくなる=ディドロ効果
例えば、思い切って値段の張るスーツを購入すると仮定します。そこで店員に「せっかく高いスーツを購入したのだし、靴もよいものを揃えては」「この高級なアクセサリーも一緒につけると映えますよ」と言われると、高いスーツを無駄にしたくないという思いから、ついでに高級品を購入したくなりがちです。
マーケティングの罠6 周りの人々の行動は正しいと思う=バーディング現象
飲食店などでよく行列ができていたり、またはテレビや雑誌で「ブームになっている」と見聞きしたりすると、ついつい「そんなに良いのかな」と思ってしまいます。もちろん本当に人気店であったりブームが来ている場合もありますが、戦略的に広告資金を投じてテレビに取り上げてもらうケースもあるので注意が必要です。
マーケティングの罠7 人は乗りかかった船からは降りにくい=サンクスコスト(埋没費用)
経済用語で、すでに支払ってしまっていて取り戻すことができない費用をサンクスコストといいます。例えば定期購買した健康食品の効果がないにも関わらず、既に支払った額を「この先は回収できるかも」と効果を期待して定期購入費を払い続けるようなケースです。既に支払った額は取り戻すことはできないからこそ「元を取りたい」「損をしたくない」と考えるのではなく、「これ以上追加費用を発生させない」と冷静な判断をすることも必要です。
実践!画像の中には、どんな行動心理が入っているでしょう?
上の画像の中には、先に紹介しました7つマーケティングの罠のうちのいくつかが隠されています。探してみましょう。
《回答》
中央の購入者の感想部分・・・バーディング効果
「某三ツ星レストランや有名パティスリーが指名買い!」・・・ハロー効果
訳ありズワイガニ・・・参照費
先着100名、今月中お申込みの方に限り・・・希少性
11,960円 同時購入特典9,980円・・・アンカリング効果
わりとよく見かける類の広告でも、これほど色々な効果(罠)が仕込まれているのです。
あらかじめ法則を知っておくことで、買い物の中に隠されたマーケティングの罠に安易に引っかからずに、賢い買い物ができるようになるでしょう。
無駄遣いしてしまう状況で、○○に行かない
無駄遣いをしてしまうことは誰しもあるかと思います。「無駄遣いと思うけどやめられないもの」を聞いたアンケートでは、第2位にケーキ・スイーツで20.9%、第3位ペットボトル飲料の18.8%、第5位には雑誌の14.3%がランクインしています。ただ、これらは金額にすればわりと小さい消費です。「無駄遣い」を金額ランキングで見てみると、第1位に家具、第2位にバッグ、第3位タクシー代、第4位洋服・靴、第5位インテリア雑貨が上位にならびます。当然、お菓子やペットボトルの無駄遣いを減らしても、金額の大きな「無駄遣い」があるとお金が貯まりません。節約のためには、まずは金額の大きな「無駄遣い」を減らすことを心がけましょう。
また「無駄遣い」をするタイミングのランキングのTOP3では、第1位ストレス解消の買い物、第2位計画なく衝動買い、第3位ボーナスが入ったとき、などの場面があげられています。このような無駄遣いをしてしまいがちな3つのタイミングを避ける改善策を下記にまとめました。
1.ストレス溜まっている時にコンビニに行くのは良いが、デパートやブランドショップに行ってはいけない。
2.ショップで「欲しい」と思ったものはメモして、その場では買わずに1週間程度の冷却期間をとる。週末に見つけたものは、次の週末まで待って判断する。
3.洋服やバッグを買うときには、まずクローゼット内の写真を撮り、自分が何を持っているか(持っていないか)を把握してショッピングに出かける。
誰でもストレスが溜まっているときは、衝動的になり冷静な判断ができなくなりがちです。ここを「無駄遣いをしてしまう状況で買い物に行かない」など、意識的な働きかけを行うことで、避けるようにしてください。
前編では、「無駄遣いが減ってお金が貯まる5つの方法」の2つ、(1)行動ファイナンスで賢い買い物ができるようになる、(2)無駄遣いしてしまう状況で買い物に行かない、についてご紹介しました。後編では、残り3つの方法を解説します。
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