日本は、社会保障・社会福祉制度が充実している国です。その代表的なものが、医療費関係の制度ですが、今回は、住居や雇用に関しての「手続きをするだけでお金がもらえる制度」について紹介します。
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知らなきゃ損!手続きだけでお金がもらえる医療費の制度
Contents
住居変更や失業時などにお金がもらえる制度
人生ではお金がたくさん必要になったり、収入が突然減ってしまったりする場面があります。たとえば、住居の引っ越しや失業などの場合です。そのとき生活に困らないよう、国が制度を整えているのです。早速、どのような制度があるのかを見てみましょう。
「住み替え助成・家賃補助制度」で生活の負担を減らせる
住み替え助成とは、引っ越しをする際に、その費用の一部を居住している自治体が代わりに支払う制度です。新宿区を例に説明しましょう。具体的な助成として、子供がいる世帯向けの転入転居サービスがあります。区外から区内に転入する場合は、住居契約時の礼金・仲介手数料(最大36万円)と、引っ越し代の実費(最大20万円)が支給されます。区内で転居する場合は、転居前後の家賃の差額や、引っ越し代の実費(最大20万円)を支払ってもらえます。ただし、受給には下記の条件があります。
・中学生以下の児童を扶養している。
・引っ越し後の家賃が月額18万円以下である。
・世帯の所得金額が一定金額を下回っている。
また、新宿区は、区内の賃貸住宅に住む世帯に対して家賃を助成する制度も整えています。このように生活の負担を減らすことで、住民の定住化を促しているのです。引っ越しをする時は、住みたい町の自治体の助成に関しての情報をしっかり調べ、給付が受けられる条件を確認することが大切です。
失業中の生活を保障する「失業手当」
失業手当は、失業中に求職活動をすることを条件に、一定の金額を受給できる手当です。一日当たりの給付額は、賃金日額(退職前6ヵ月の賃金合計÷180)×給付率(45~80%)です。受給手続きはハローワークで行います。その際の受給条件は、自己都合退職であれ会社都合退職であれ、基本的には下記の通りです。
・離職日以前の1年間に、6か月以上の被保険者期間がある。
・離職票提出後に7日間の待機期間を満了している。
また、受給できる日数は、雇用保険の加入期間や退職理由などの条件で決まり、最短90日から最長360日の範囲で決定されます。
お金がもらえて技能も身につく「教育訓練給付金」
教育訓練給付金とは、厚生労働大臣が指定する教育訓練を終了したときに、その費用の一部をハローワークが代わりに支払ってくれる制度です。種類は二つあります。「一般教育訓練給付金」と、「専門実践教育訓練給付金」です。
一般教育訓練給付金
まず、一般教育訓練給付金は、教育訓練を終了すると教育訓練経費の20%(上限10万円)が支給される制度です。対象となる訓練として、パソコンや英会話などの講座などがあります。
給付金が受けられる具体的な条件は下記の通りです。
・雇用保険に3年(初めてなら1年)以上加入している。
・前回の給付から3年以上が経過している。
・離職しているケースなら、離職から1年以内である。
申請する際は、受講修了後1か月以内にハローワークに書類を提出しなければなりません。
専門実践教育訓練給付金
一方、専門実践教育訓練給付金は、教育訓練経費の40%(上限32万円)が支給される制度です。一般教育訓練給付金と仕組みは似ていますが、若干ルールが異なっています。訓練修了後に、指定された資格取得を取得して1年以内に雇用された場合、教育訓練費の20%にあたる金額が追加支給されます。また、訓練期間中に失業状態である場合は、「教育訓練支援給付金」も受給できます。金額は、離職前の基本給の50%に相当します。対象と認められる訓練として、専門学校の入学や、大学院の講座受講などがあります。
給付金が受けられる具体的な条件は下記の通りです。
・雇用保険に10年(始めてなら2年)以上加入している。
・前回の給付から10年以上が経っている。
・離職しているケースなら、離職から1年以内である。
受講終了後1か月前までに、キャリア・コンサルティングを受けてジョブカードを作成しなければなりません。また、受講開始日から6ヶ月毎、そして、受講修了後1か月以内にハローワークへの書類提出が必要です。
知らないと損!最低限知っておきたい控除の数々
税額を減らして還付金を受け取れる控除制度も見過ごせません。控除制度は幅広い分野で導入されているため、種類が多い傾向にあります。見落としなく利用できるように、代表的なものをいくつかピックアップして紹介します。
10年間受けられる「住宅ローン控除」
正式名称は「住宅借入金等特別控除」です。控除額は年末時におけるローン残高の1%にあたります。確定申告(初年度のみ)をすることで10年間にわたって控除を受けられます。控除を受けるための条件は下記の通りです。
・マイホームを購入している(10年以上の住宅ローン)。
・購入した物件が居住用である。
・所得が3000万円以下である。
・控除すべき税金がある。
他の控除と比較すると戻ってくる金額が多いため、知っておきたい控除制度です。
会社勤務者が利用できる「特定支出控除」
会社勤務者が給与所得控除額の1/2を超える特定の支出をした際に、相当額を経費として控除できる制度です。手続きでは、職場に申請後、確定申告をする点がポイントです。対象となる具体的な支出を下記に列挙します。
・弁護士資格をとるための勉強代
・転勤のための引っ越し費用
・経済新聞の電子版の購読費
・スーツの購入費
・取引先との接待にともなう飲食費
一見すると対象とは思えないものまで控除となる場合があります。仕事でお金を支払う場面があったら、控除の対象であるかを確認する癖をつけるとよいでしょう。
いざというとき女性の役に立つ「寡婦控除」
夫と死別した際に、女性が受けられる控除です。条件は下記のいずれかを満たす必要があります。
・子供や扶養親族を養っている。
・所得が500万円以下である。
控除の金額は基本的に27万円ですが、両方の条件を満たしている場合は8万円加算され、合計35万円の控除額になります。手続きに関しては、ほかの控除と同様に確定申告が必須です。
損害を受けたときに利用したい「雑損控除」
災害・盗難・横領などで損害を被った場合に、確定申告をすることで所得税や住民税の一部が戻ってくる制度です。控除額の計算式は二つあり、多い方が最終的な控除額となります。
①差し引き損失額-総所得金額等×10%
②災害関連支出-5万円
差し引きとあるのは保険などで補てんされた金額は対象とならないことを示しています。また、災害関連支出とは、災害に関連したやむを得ない支出のことです。例えば、災害で壊れた住宅や家財の撤去費用などが代表的です。
確定申告の手続きの際は、支出金額を示す領収証などの添付が必要なので、忘れないようにしてください。
まとめ
今回は、手続きだけでお金がもらえる制度について紹介しました。今回紹介した代表的な制度のほかにも、数え切れないほどの制度があります。例えば、中学校を修了していない児童がいるともらえる児童手当などです。マイナーなものでは、生垣造成補助金や結婚仲人報奨金なども存在します。このような制度を知っておき、適切な時に申請できるよう、常に最新の情報にアンテナを張っておきましょう。
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