人生疲れた時にちょっと一服 ねぼけ人生
著者:水木しげる
出版社: 筑摩書房; 新装版 (1999/7/1)
こんな人、こんなシーンにおすすめ
- 人生でちょっと苦難にぶつかったと思っている人
- 投資を始める前に人生について考えたい人
- 結婚をしようとしている、またはしたばかりの人
「ゲゲゲの鬼太郎」でおなじみの水木しげる氏の自叙伝
日本の原風景が残る戦前の田舎で育った少年期。徴兵で戦地を彷徨い左腕を失うも現地人との交流もあり生還する青年期。漫画家となり結婚するもなかなか目がでず極貧の中夫婦で苦労する壮年期。
現代社会から見ると耐えられないような苦労の連続も、氏独特の軽いタッチがその悲惨さを中和して、一人の人生を楽しく客観的に見ることができる良書です。
人生でつまずきそうになった時心が折れそうになった時に読み返したい一冊です。
人生はソフトにじっくり考え、動く時にはハードに激しく動く
漫画家水木しげる氏の半生をつづった作品。少年期、青年期、壮年期どれも人生訓になる部分が多いです。
少年期はもう失われてしまった日本の田舎の風景や風俗が丁寧に綴られており、非常に興味深いです。また「戦争は行くまでは勇ましい気分だが、いざ自分が行く立場になると恐ろしい気持ちになる」という徴兵時の気持ちも平和な現代社会に生きる我々への警鐘のように聞こえます。
そして実は戦後の壮年期の「お金」にまつわる話がまた面白い。
働けど働けど一向に生活が楽にならないのはなぜだ?と水木氏は考えます。
リンタク(自転車のタクシー)の仕事を経験するのですが、彼は少し働いた後に「これは毎日汗水たらして働くよりも、頑張ってリンタクを買ってそれを人に貸したほうが儲かる」ということに気が付きます。また自分の生活を苦しくしている一番の理由が家賃であることに気が付いて、間貸しをしたりしながら何とか家を買うことはできないか苦心します。
こういう投資の世界にも通じる「持てる者」と「持たざる者」の格差の話も大変興味深いです。
また、税務署が水木氏の家に税務調査にやってきて「こんな少ない所得で生活できるわけがない」と質問され、腐ったバナナを食べて飢えを凌いでいた水木氏は「税金でメシ食ってる奴に、庶民の生活が分かるか!」と怒鳴り散らすシーンも何やら現代社会に通じるものがあります。
後半はとにかく水木氏のハードワーカー振りの話が続きます。水木氏曰くその仕事の忙しさは片腕を失った戦争よりも辛かったとか。
・持つ者と持たざる者の違い 頑張って「持つ者」になる
・熱心に働く とにかく熱心に働く
・身近な理解者・パートナーの存在
など、水木氏を成功に導いた人生哲学満載の本で、是非皆さんにお勧めしたい一冊です。
書籍の評者
野瀬 大樹
公認会計士・税理士
大手監査法人にて、株式公開支援業務や法定監査業務などに関わった後に独立。会計や税務に関するセミナーを多数行うほか、日本企業のインド進出を支援する法人を設立し代表も務める。
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